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地デジはなぜ遅れる? [テクノロジー]

アナログ放送とデジタル放送を同時に見ていると、1~2秒の遅れを感じると思います。
アナログ放送がリアルタイムで、デジタル放送はそこから遅れて見えます。
この問題は回避することができず、時報放送が無くなったのもその理由の一つです。

地デジやBSデジタル等のデジタル放送は、MPEG2という動画圧縮システムを使っています。
MPEG2圧縮方式には、遅れが少ないShort GPO、遅れが多いLog GOPの2種類があります。
前者は遅れが殆ど無いのですが画質が悪く圧縮効率も悪いです。対して後者は画質が良く圧縮効率も良いです。
そういうわけで、放送ではLong GOPが採用されています。

ここで、GOPに付いて簡単にお話ししておきましょう。動画圧縮では重要なキーワードです。
GOPとは、Group Of Picutuerの略で、圧縮の最小単位の事です。
MPEG2では一般的に「IBBPBBPBBPBB」というGOP構造になっていて、12フレームで1グループです。(18の場合もあり) Iピクチャはすべての情報を含んだ圧縮画像。これが基準になり、BピクチャやPピクチャは前後フレームとの差分情報になります。そして、復号には基本となるIピクチャが必ず必要です。

12フレーム(1フレームは1/30秒)で1グループですから、圧縮処理(送信)には最低でも12フレーム必要。これは約0.5秒の動画です。復号(受信)も同じで、1グループ集まらないと圧縮データの1単位が成り立ちません。よって、送信と受信で最低でも約1秒の時間が必要なのです。これが遅れの最大原因です。
これに、誤り訂正や各種情報を付加して送信し、受信側でも各種画像処理をしますので、トータル的に2~3秒の処理時間が必要になっています。
送信側の遅れは高価な設備を使っているため計算で求められますが、受信側は使用しているICチップの性能や画像処理の内容と処理能力で大きく左右されます。故に、受信側の遅れは均一に規定することができません。これがゆえに、時報を出すことができなくなったのです。

この遅れはいろいろなところに問題を起こしています。例えば緊急地震速報。速報がテレビで表示されるまで2~3秒の遅れがありますので、TVに表示された時には遅かったという事例が多数出ています。そこで、緊急地震速報は放送データに乗せるのではなく、別枠で流すように改良が進められています。
時報もドンピシャでできなくなったので、ビデオデッキの時計を時報で合わせることもできなくなりました。これはインターネット接続されていればNTPという時刻情報が使えるので、NTPを率先して使うべきだと思うのですが、NTPを導入している機器はほとんど見たことがありません。いまどきのビデオデッキは内部はLinuxで動いているのが多いので、NTPの実装は簡単、というか標準的に持っているはずなのですけどね。


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なるほど

ぱちぱち
by なるほど (2010-12-05 14:56) 

まっちばこ

野球中継の画像はテレビで見て解説はラジオを聞くということを以前やっていたのですが、スカパーでできなくなりました(泣)で、アナログ地上波ですと出来たかというと中継の伝送系ですでにデジタル伝送を使いはじめた時からわずかな遅延が生じていてできなくなりました。ラジオをわざと遅延させる方法って無いでしょうか。(テレビの実況って下手糞で聞くに堪えないのです。)
by まっちばこ (2010-12-07 09:43) 

sawada

楽器用のディレイを使えば任意の遅延を作れます。ギター用が安いです。
by sawada (2010-12-07 11:33) 

まっちばこ

なるほど...ありがとうごさいます。
by まっちばこ (2010-12-08 00:24) 

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