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SYNCROOMのお話 [インターネット]

今回は音楽系の話題です。

コロナ渦をきっかけにネット越しにセッション(バンド演奏する)する需要が高まったようです。
ヤマハから出ている無料アプリのSYNCROOMというシステムがあります。
これは、それぞれの家をインターネットを通じて低遅延に音声を結ぶシステムで、音ズレがとても少ないためネットを通じて合奏ができるというものです。

ただし、それを快適に使うには環境の制限がいろいろあります。
その辺をまとめて書いてみようと思います。
大切な順に書きます。

・インターネット回線
なんといってもこれ。
低遅延を実現するとなると回線は最重要課題です。
少なくとも光ファイバー回線は必須と思いましょう。
コロナ渦が始まったころはNuro光が最強と言われていました。ユーザも少なく速度もばっちり出ていました。今はユーザが激増して混んでいるらしいですが...
パソコンとルータの間の接続は「有線ケーブル(LANケーブル)」を強く推奨。硬くて太いものが高品質です。使い勝手の良い「柔らかい・細い・薄い」ものは品質が犠牲になっています。少なくとも長くなる部分には太くて硬いものを使いましょう。
WiFiは手軽で便利ですが、遅延の元になるのでSYNCROOMやるには適していません。
IPv6に対応していることもポイントになります。IPv4でもできますが、IPv6の方が快適です。
今どきの回線契約ならIPv6対応になっているものが殆どですが、10年以上前から使っている回線だとIPv6は別コースだったりします。詳細は後で説明します。

・ASIO(アジオ)対応オーディオインタフェース
Windowsの場合は特に重要です。避けて通れません。
SYNCROOMやるにはASIO規格に対応したUSB接続オーディオインタフェースは必須です。
これを買わずにASIO4ALLという汎用ドライバを使用してオンボード(PC内蔵)で済ます例をよく見かけますが、ASIO4ALLは「非対応チップを無理やりASIO互換に見せかける」ものなので、動けばラッキー、不安定でも仕方ない、というものです。
そもそもオーディオインタフェースを購入できない様であればSYNCROOMは諦めましょう。
ASIOについても後で説明します。

・PC本体
SYNCROOMやるだけならいわゆる普通のスペックで十分です。
しかし、ウインドシンセでソフト音源使ったり、同一PC上で別のアプリを同時に動かすようならそれなりのスペックを用意しましょう。同時生放送するとなると結構なパワーを食います。
SYNCROOMはリアルタイム性を重視したアプリなので、PCパワーに余裕が無いと音が途切れたり大きな遅延が起ます。
お勧めは、第8世代以降のCore-i5かi7で、RAMは16GB以上というのが最低ラインでしょう。
もしVRChatまで同時にやろうと思ったらRAM増強とCPU選定も必要になってきます。

・トラブル
実際にSYNCROOMを使いだしてよく遭遇するトラブルをいくつか紹介します。

・・音がループしてしまう
自分の音だけを外向けに送信し、外から来た音は自分が聴くだけ。
この経路を守る必要があります。
ありがちなのは、自分が聴いている音(相手の音や自分の楽器のモニター音)を相手に折り返してしまっている例です。最近のオーディオインタフェースには生放送に便利な「ループバック機能」というのが付いています。これはSYNCROOMではOFFにしておかないとトラブります。

・・音が途切れる
インターネット回線契約の見直しが必要がかもしれません。
週末や平日の夜間帯等、回線が込み合う時間であれば、契約している回線の問題ですから自分の方で打つ手はありません。回線契約を他社に変えるくらいしか思いつきません。
WiFiを使っている場合は有線接続に変更してください。WiFiはデータが途切れるものです。
有線接続の場合はケーブルを疑ってください。カーペットの下を通しやすい平型ケーブル(通称きしめんケーブル)は便利ですが劣化しやすいです家具や足に踏まれて性能劣化していきます。古いケーブルも経年劣化します。

・・レイテンシが悪い
SYNCROOMを詳細表示させると送受信の遅延の数字が見れます。これは相手がいるときだけ見れます。自分から相手、相手から自分の双方向で遅延時間が見えます。
この数字の評価ですが、30ms切っていれば少し前糊する程度で早い曲でも合わせられます。40ms以上ある場合は合わせることがかなり難しくなります。自分は合わせているつもりでも相手には遅れて聞こえますので、皆でリズムを合わせるのが難しくなります。
深夜2時過ぎになるとレイテンシの数字が良くなっていきます。回線自体が空いてくるからですね。
また、IPv6ではなくIPv4で接続されている場合もレイテンシが悪化しやすいです。

・IPv6とは
インターネットの通信規格で、従来からあるIPv4と新規格のIPv6があります。
細かい話になりますが、光接続の多くはNTTのNGN網を経由してプロバイダ(So-netとかOCNとか)に繋がっています。IPv4ですとNGN網とプロバイダの接続口の容量で制限されてしまい、混雑すると通信速度が遅くなったりレイテンシが悪化します。
これがIPv6同士ですとNTTのNGN網から出ることなく相手に繋がるので接続口の混雑の影響が無くなります。接続口とは高速道路の料金所やインターチェンジと思ってください。あの渋滞と同じです。
契約によってはNuroのように独自回線を確保してNTTのNGN網と無関係な業者もあります。

・ASIOとは
Windowsで低遅延に音声を扱うにはASIOという規格が必須です。
そもそもWindowsでは音楽を扱うことを考えて作られていません。その点Macはもとからクリエーター向けという思想があるため気にせず低遅延に音楽を扱えます。音楽やるならMac一択と言われている所以でもあります。
ASIOはWindowsのカーネル(中枢部)に持っている仮想ミキサーを経由させず、ASIO規格で独自ルートを作成して音声を扱います。これによりWindowsカーネルが原因で起きる遅延を解消しています。
ASIOは使用するオーディオインタフェースと専用ドライバのセットで使いますので、ASIO対応の製品を使います。有名どこではYAMAHAのAG-03、Steinbarg UR-22mk2、Zoom U44あたりがあります。前の2機種はユーザも多いのでお勧めです。私はUR-22mk2を使っています。
ASIOは基本的に1つのアプリが占有します。特に出力は一つのアプリが使用開始したらほかのアプリからは使えない状態に固定されます。例えばSYNCROOMが動いているときはWindowsのシステム音やYoutubeの再生音を同一デバイスからMIXして出すことはできません。(ASIOとWindowsのWDMを同時に扱える機種もあるようですがよく知らないです)

・余談
私の環境は見た目大袈裟です。
といのも、パソコン1台で全ててきるようにして、さらに外付けハードはなるべく使わずソフトウエアで済ますという主流の考え方からは「逆方向」をいっています。
つまり、ハードでなんとかしてしまおう、見えて直接されれるものが分かりやすいという考え方です。
PCにはオーディオインタフェースが3台繋がっています。それぞれ別メーカーでバラバラです。

1) CREATIVE SoundBlaster THX
これはWindowsの規定の音声出力に設定してあり、Windowsが出す音は基本的にここから出るようにしています。出力だけ使っています。
2) Stenbarg UR-22mk2
メインのオーディオインタフェースです。SYNCROOMの音声の入出力をこのデバイスを指定しています。
3) TASCAM US-600
生放送をするときやオーディオの品質解析(例えばラウドネスレベル)をするときに使っているもので、入力のみ繋がっています。

この3台をアナログミキサー卓につなげ、ルーティングを行って使っています。
ミキサー卓は2BUS(MAINとSUBがある)タイプです。

1からカラオケを出して、
2からSYNCROOMの他のメンバーの音を出し(ミキサーのSUBバスに送る)、
ミキサーで自分の楽器と1を混ぜて(ミキサーのMAINバスに送る)2を使ってSYNCROOMに送り、
SYNCROOMの仮想オーディオインタフェースからVRChatやTwicasに送ってます。

もちろん、ルーティングを工夫してソフトウエアミキサーと仮想インタフェースを使えばAG-03のみでも似たことはできます。私がやらないのは、目的によって設定を変えたりするのがめんどくさいからです。ミキサー卓ならボタンを切り替えれば良いのでわかりやすいので。
※デジミキ導入したら設定を保存できるんだよなぁ... 欲しいなぁ... でも、PCで卓操作はなぁ...

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