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ソーラー発電(太陽光発電)ノイズ【2章-2】 14MHz帯 [アマチュア無線]

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隣接するレオパレスに「増設」されたソーラー発電ノイズですが、天候が悪いため被害の詳細はまだ完全に把握できていません。しかし、ざっくりとした調査ではありますが、今回は14MHz帯(国際通信のメインバンド)にのみ発生している可能性が高いことが解りました。10MHz帯(専用アンテナ無し)や18MHz帯(同)、21MHz帯(アンテナ有り)以上ではノイズが観測されません。

今回設置されたパワコンはオムロン製です。オムロンの製品カタログには他社にある「無線設備に近接する場所への設置はしないでください」の下りがありません。しかし、JP1LRT局の調査結果からは、障害が起きる可能性があることは確かで、障害が起きたら個別対応するとの回答を得ているようです。
EMCコントロールとしてはシャープよりもオムロンの方がずっと優れていると言えます。

しかしながら、近隣の強力な電波とほぼ同等のノイズ妨害を受けているのは事実で、薄曇りの天候でもSメーターは9を示しています。よって、なんらかの対策を打たない限り、14MHz帯は使い物にならないことには代わり有りません。

<追記>
昼過ぎに天候が良くなり、たまに日が差すようになりました。日曜の14時頃です。
FT-2000Dとスペアナでバンド内を観測してみると、発電量が多くなると数10秒周期で強烈なブーンというノイズが発生していることがわかりました。レベルはSメーターで9+20dBで、全ての通信をマスクしてしまいます。
帯域は14.150付近から250付近まで、スペアナでは台形の広帯域ノイズが見えます。ソレより上には存在せず、下の方含めピロピロ音だけです。非常に特徴的です。
これには参りました。全く使い物になりません。
<追記ここまで>

さて、Twitterでは色々とつぶやいて解説していましたが、なぜこのようなトラブルが「日本で」起こるのでしょうか。じつは殆ど知られていない事なのですが、この先進国「日本」においては、電波を積極的に出す機器への規制は厳しいが、それ以外の機器に対する規制は世界一緩いという現状があります。つまり、法令化されていません。
日本でもEMC(不要輻射ノイズ)に対してはVCCIという規格がありますが、これは業界自主規制です。つまり、業界団体で話し合って、このレベルに押さえて製品品質を守りましょうという紳士協定で有り、法的な拘束力はありません。
また電気製品安全法(通称、電安法)がありますが、これは短波帯(30MHz以下)の空間輻射に対する規制は規定されていません。一般的な安全(感電ややけど)に対する安全法であり、こまかくカテゴライズされています。
したがって、短波帯でのノイズに対する規制としてはVCCIにおける電源妨害(端子雑音レベル)でのみ規格が存在しています。これは機器の接続端子部におけるノイズレベルのみを規定しているため、その先に繋がるケーブル類から輻射(放射)される電磁ノイズに関しては規定がありません。これが今回問題となっています。
欧米諸国では、FCCやCEという安全規格により輻射ノイズレベルも法的に制限されています。しかし、日本にはこの規制が存在しないのです。故に、日本向けの機器は自主規制のVCCIを適用してあれば良い方で、気にしておく程度の対策で市場に出しているメーカーも多数有ります。

この問題について、家庭用ソーラー発電が始まった頃から懸念しており、色々と調べたり活動を行ってきましたが、規制が厳しくなる方法へのメーカーの腰は重く、行政も縦割り社会で(電波ノイズは総務省、エネルギーは経産省)といったこともあり、全く進んでいない、議論されていないのが現状でしょう。

昨日、私はJARLに相談メールを出しました。いろいろな理由でJARLからは退会していますが、この問題を真摯に受け取り、多くの経験とスキルがある自分と協力関係を作って問題解決に進まないか?という内容の文面です。
アマチュア無線家の中には、私のように近隣にソーラー発電が設置されてノイズ妨害を受けている人がたくさん居ます。しかし、私のように相手がレオパレスという大企業であれば対策相談をもちこむのは躊躇せずできますが、相手が一般家庭の場合は近所づきあいもありますし、言い出しにくい例が多いと聞きます。また、話をしても理解されないことが殆どで、解決の方向に踏み出すこと(施工業者やメーカーを聴くどころか、調査すらも)すらできないという話も聞きます。
※このシリーズをBlogや雑誌連載をはじめてから、全国のアマチュア無線家から何件かの相談を受けています。

JARLは前向きになってくれるでしょうか。とにかく現状は厳しいです。

アマチュア無線へのノイズ妨害は増える一方ですが、国は再生可能エネルギーを推進し、メーカーはそれに乗って多くのシステムを発売しています。施工業者もどんどん増えていて悪質な手抜き業者まで多数出てきている状態です。すなわち、日本国内は既にソーラー発電祭りで大賑わい。ここに待ったをかけることができる人は誰でしょうか。国は自分で巻いた種に水を注いでいます。メーカーは自分の首を絞めるような活動はしないでしょう。悪化のスパイラルは始まってしまったらなかなか抜けられないのは、このような事例だけではないので理解できると思います。

余談になりますが、なぜソーラー発電ばかり伸びているのでしょか。風力や地熱ももっと推進すべきです。ソーラーは太陽が出ている日中しか機能しません。蓄電装置は非常に高価です。よって、夜でも発電できる風力や、安定した電力をクリーンに確保できる地熱を「同じだけ」作らないとバランスが悪いのです。しかし、ソーラーばかりです。なぜか・・・
それは、場所さえあれば簡単に設置できるからです。並べて配線するだけ。言ってしまえば誰でもできます。仕事が減った住宅リフォーム屋がソーラー発電工事屋に鞍替えしたパターンが非常に多いそうです。メーカーの講習会を受ければ認定業者として業界に認められ、電工の資格は監督さえもっていればOK。となれば、簡単で利ざやの高いソーラーに参入するのが手っ取り早い収入確保だからです。

話は飛びましたが、世界共有の電波資源を守らなくてはなりません。時代は短波通信からGHz帯に移っていますが、これほどシンプルな通信はありません。3.11の震災を思い出してください。インフラが壊滅状態になると携帯電話は繋がりません。テレビも見れません。最初に被災地との情報網を確保したのはアマチュア無線の短波通信でした。

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